みなさんこんにちは。
エータ法律事務所の弁護士政岡です。
前回のブログ「相続手続のお話5」では、
法定相続分や個人の財産は自由に処分できることなどをとりあげてお話いたしました。
今回はその続編として、遺留分のお話から始めますね。
「基本的には個人の財産は自由に処分できる」ものの、
社会政策的な観点(親族間の公平や扶養という考え方なのだと思います)から
一定の制約があることにも注意する必要があり
その「一定の制約」にあたるのが「遺留分(いりゅうぶん)」
であることまで、前回お話いたしました。
遺留分の場合、注意しておくのが、「兄弟姉妹には遺留分が無い」ということです。
ですから、例えば遺言書で妻だけに相続させるとした場合、
子供がいれば、子供には遺留分が発生するので、
妻だけに相続させることは出来ない可能性があるのですが、
妻と兄弟が相続人の場合、兄弟には遺留分が無いので、
妻だけに相続させることが可能です。
遺留分というのは、法律が認めた「妻や子、父母の最低限の取り分」です。
もっとも、基本的には個人の財産は自由な処分が認められるべきですし、
遺留分を求めない妻や子、父母に強制的に財産を押し付けるべきでもありません。
そこで、相続人が、
「自分の遺留分すら害されているから、それは渡してくれ」
と積極的に請求しない限り、
その相続人に遺留分割合の遺産が相続されることはありません。
難しい言葉ですが、この請求の事を
「遺留分減殺(いりゅうぶんげんさい)請求」と言います。
これは、遺留分が害されることを知ってから一年、
知らなくても相続開始から10年以内に請求しないといけません。
例えば、家族の事をかえりみない放蕩息子がいて、
その息子には遺産を残したくないと考えることが良くあります。
この場合、遺言書に
「妻に全部相続させる。息子には何も遺さない。」
と記載することがあるのですが、
その放蕩息子が「遺留分を寄こせ」と言い出すと、
法律でその放蕩息子が保護されてしまいます。
この場合、具体的には、
遺産の1/2(遺留分)の更に1/2(法定相続分)で、
結局、遺産の1/4が放蕩息子の手に渡ることになってしまうのです。
そこで、悪さばかり働いていた息子には絶対に相続させたくない、
とお考えになる場合には、「廃除」(はいじょ)という手続きがあります。
これは、放蕩息子の意思に関わらず、
つまり遺留分の主張をしてきても相続人の立場から外して、
遺産を何も相続させないというものです。
法律は、(色々と厳しい条件付きですが)
最終的には亡くなった方の自由な財産処分を認める制度にしているということなんですね。
では、長くなってしまったので、今日はここで終わりにさせていただき、
興味深い「廃除」については、
次回のブログでご紹介させていただきたいと思います。
ぜひお楽しみに。