エータ法律事務所ブログ:相続手続きのお話7【遺言の種類】

皆さんこんにちは。

エータ法律事務所の弁護士政岡です。

 

今回は、相続に関するお話として

遺言(ゆいごん、いごん)について触れてみたいと思います。

 

相続税の改正もあり何かと相続に関する注目が高まっているようです。

 

私のところにも、以前から、

遺言作成についてのご依頼が多く寄せられていますが、

今年に入ってから、特に多くのご相談やご依頼があります。

 

普通の遺言には、

全文直筆で作成する①自筆証書(じひつしょうしょ)の遺言、

公証役場で作成する②公正証書(こうせいしょうしょ)遺言、

第三者に内容が知られない様にする③秘密証書(ひみつしょうしょ)遺言

があります。

*特別な状態の時に作成する遺言

(伝染病隔離者の遺言や船舶遭難者の遺言)もありますが、

これについては、今回は説明を省略します。

 

遺言は、上記のどの方法で作成しても良いのですが、

①の自筆証書遺言は、

日付も含めた全文直筆、署名押印の必要があります。

封筒に入れて封印することまでは必要ありませんので、

思いついた時に、チラシの裏に書いていただいても構いません。

これは、いつでもどこでも作成できるので

気軽で良いのですが、反面、

遺言書の表現が曖昧であったりすると

後日の紛争が生じかねませんし、

場合によっては、

その遺言作成当時に痴ほう症だったから無効だ、

なんて言いがかりも付けかねられません

(言いがかりをつけるのは、不利な相続内容にされた相続人です)。

 

そこで、私が相談を受ける場合には、

②の公正証書遺言の作成をお勧めしています。

 

公正証書遺言は、

全国各地にある公証役場で公証人が作成する遺言で、

公証人と遺言者が直接面談を行いますので、

遺言書作成当時の遺言者が痴呆症だったから遺言が無効だ、

というようなクレームが

現実的には寄せられにくいメリットがあります。

体調が悪い場合などは、公証人が自宅や病院に出張してくれます。

 

また、事前に、公証人との間で、

遺言書の記載内容や表現について検討を行いますので、

表現や内容が不正確で

後日の紛争になるということを避けられます。

 

私が家裁で選任されて遺言執行者となった案件では、

遺言者が自ら作成した自筆証書遺言があったのですが、

その記載内容が極めて不明瞭で、

相続人間がその解釈について争い、

収拾がつかなくなったものがありました。

 

せっかく遺言を作成しても、

それが元でトラブルが発生したり、

遺言者の意思にそった遺産相続が出来ないのでは

意味がありません。

 

その点でも、

公証役場で遺言を作れば、

また、出来れば弁護士等の専門家に依頼をして

遺言内容をちゃんと検討しておけば、

意向に沿った遺産相続が可能となります。

 

費用は若干掛かりますが

(遺産の額によるのですが、

公証役場費用が数万~、弁護士費用は15万前後)、

相続人間のトラブルを避けるため、

または遺言者の気持ちを実現するために、

万全の備えをしておきたいものです。

 

では、次回は、

遺言書の内容面の工夫について

ご説明したいと思います。