皆さんこんにちは。
エータ法律事務所の弁護士政岡です。
春になって、通勤の行き帰りの車内に、
新入社員らしい若者を多く見かけるようになりましたね。
今となっては随分と昔ですけれども、
私自身が新入社員だった時に抱いた、
将来に対する漠然とした希望や不安感を思い出します。
さて、当事務所では、サラリーマンなどの労働問題、
例えば不当解雇やパワハラなどのご依頼を受けております。
会社側と従業員(労働者)側のどちらかだけに偏ることはなく、
その時々でどちらの代理人も務めていますが、
労働者の場合、解雇されると日々の生活費に事欠き、
非常に切羽詰まる事態に陥ってしまいます。
私がご依頼を受けた案件では、
交渉で終わるケース、裁判や労働審判まで至るケースと様々ですが、
解雇が不当と思われる事案でも、
会社から金銭支払いを受けて解決に至ることが殆どです。
基本的に、解雇トラブルに発展したケースでは、
よほどの大企業でない限り(また,よほどの強心臓でない限り)、
例え裁判所で解雇が無効とされて社員の地位が法律的に確認されても、
事実上、人間関係的に居づらくなってしまうからです。
そのような労働トラブルに関して、
3月25日、政府の規制改革会議が、
金銭支払いで解雇トラブルを解決するルールの導入を提言しました。
過去にも同じ提言がありましたが、
『会社は金さえ払えば解雇出来る一方で、労働者は、転職が難しく地位や経済状況が悪化していく。』
という反発を受けてきました。
今回の提言は、会社から解雇された労働者側に、
今までのように解雇無効を争うか、
会社に解決金支払いを求めるかの選択肢を与えるというもので、
「会社が一方的に解決金を支払って解雇出来る」ルールではないようです。
むしろ、一定の金銭的ルールを明確にすることで、
解雇する場合に請求される額が会社には明確になり、
不当な解雇を控えることに繋がるかもしれませんし、
一概に悪い制度と言い切ってしまうのも違うかもしれません。
この夏に有識者会議を設け、検討が進められるようですので、
その動向を注意しておく必要がありそうですね。