会社の不正を見てしまったら

皆さん、こんにちは。弁護士藤田です。

もうすっかり年末に近づいてきましたが、いかがお過ごしでしょうか。

 

今回は、会社の不正行為を見てしまって、公表なども考えている一方で、会社から解雇されたりしないか心配だという相談例をご紹介します。

 

このようなご相談は、真面目で正義感の強い方に多い悩みで、私もこの種の相談を何度かされたことがあります。

 

 

1 まずは事実確認を

 

会社が違法なことをしているのであれば、それを放置していては被害が出る(拡大する)危険がありますから、違法なことを止めさせなければならないと考えることは、健全で当然のことといえます。

 

しかし、不正なことと考えていることは、本当に違法なことなのか、一瞬冷静になって慎重に確認してみましょう。犯罪になるような違法なことなのか、民事上の債務不履行になるレベルのものなのか、それともその人の道徳上こうあるべきと思っていることと違うということなのか、どのレベルのものなのかも区別する必要があります。

 

会社内部の事実の公表を考えているとのことですが、それによって就業規則上の秘密保持義務違反を理由に懲戒処分を受けたりする可能性も全くは否定できません。思い込みによって極端な行動に出てしまわないよう注意しましょう。

 

 

2 公益通報者保護法

 

冷静に事実関係を確認したうえで、会社の不正行為が一定の刑罰法規に違反するような犯罪行為にあたるのであれば、一定の要件を満たすときには公益通報者保護法による保護を受けられます。

 

公益通報者保護法は、労働者が不正の目的ではなく、一定の事実(通報対象事実といいます。)を通報しようとする場合に適用される法律ですが、例えば会社のコンプライアンス担当部署などに通報する場合にも適用されます。保護法の適用がある場合には、会社が通報した従業員に対して、解雇や降格、減給などの不利益処分を課すことは禁止されます。

 

しかし、この公益通報者保護法についても、通報先が会社外部になる場合には保護の要件が変わりますので、注意をしましょう。

 

例えば、監督行政官庁に対して通報するときには、その事実が真実と信じるだけの相当の理由があることが必要になりますし、マスコミ等に公表するときには、さらに緊迫した危険があるなどの一定の場合である必要があります。ですので、外部への公表も考えているというのであれば、不正の事実の証拠があるのかを確認するなどしておく必要もでてきます。

 

 

3 公益通報者保護法が適用されない場合はどうなる?

 

このように公益通報者保護法による保護を受けるには、一定の場合に限られていますが、仮にその適用を受けられなかったとしても一切保護を受けられないわけではありません。

 

例えば、会社の不正行為を指摘したことで会社が報復的に解雇処分などを行ってきた場合などには、その解雇処分を権利濫用による無効なものとして争う余地も考えられますし、損害賠償を請求することなども考えられないではありません。ただし、このような手段には、事実上のリスクがあるかもしれないことを覚悟しなければならないですから、事前に多くのことを期待しすぎるのも禁物です。

 

 

このように現在の法制度では、不正行為の通報者の保護は万全ではありませんので、そのような点が不正行為の発覚を遅らせ、企業不祥事が後を絶たない理由となっているのかもしれません。

 

 

最近では、公益通報者保護法の実効性を上げるための検討が消費者庁などでも進められているようですが、ぜひ真面目な方ほど悩まなくてもよいように、制度を改善していっていただきたいものですね。