法人役員の損害賠償責任

 

ある法人役員の行為によって損害を受けた場合には、その役員の責任を追及することによって、損害賠償を請求できる可能性があります。被害を受けられたのが、その会社自身の場合でも、株主や債権者などの場合であっても、それぞれ法的救済が受けられる可能性がありますので、このページをご参考に適切な対応をおとり下さい。

 

 

 

 

Contents.

 

  1. 法人役員が損害賠償責任を負う場合。
  2. 損害賠償を請求する方法。
  3. 企業不祥事を予防する方法。

 

 

 

 

 

 

法人役員が損害賠償責任を負う場合

 

 

法人役員が損害賠償責任を負う場合には、大きく分けて(1)役員が職務上の義務に違反したことを理由に、会社に対して損害賠償責任を負う場合と、(2)会社以外の第三者(取引先、株主、一般消費者等)に対して損害賠償責任を負う場合の二通りがあります。

それぞれについて、簡単にまとめると、次のようになります。

 

 

(1) 役員が会社に対して損害賠償責任を負う場合

 

 この場合の主な法律上の根拠は、会社法423条に定める任務懈怠責任などがあります。

  • 取引先に無謀な融資を継続して会社に損害を与えた。
  • 総会屋に違法な利益供与をした。
  • 役員が無断で、会社の競業他社でも同種の事業をはじめ、会社に損害を与えた。
  • 違法な業務執行を防止するための内部統制システム構築義務に違反した。 etc.

 

 

(2) 役員が第三者に対して損害賠償責任を負う場合

 

 この場合の主な法律上の根拠には、民法709条の一般不法行為責任のほかに、会社法429条の責任などがあります。

  • 違法な株価操作によって一般投資家に損害を与えた。  etc.

 

 

法人役員の行為は、それにかかわる人々に大きな影響を与えるものですから、その行為が適正に行われるよう様々な法的責任が課せられています。法人役員の行為によって損害を受けられた場合には、法的責任を問うことが可能かどうか、弁護士に一度ご相談されることをお勧め致します。

 

 

 

 

損害賠償を請求する方法

 

 

損害賠償の請求をする方法には、会社や第三者が、問題の取締役に対して直接損害賠償を請求する訴訟等を提起する方法のほか、株主の場合には、会社に代わって株主代表訴訟を提起する方法もあります。

 

その他にも、これから行われようとする役員の違法行為に対しては、差し止めを求めて仮処分を申し立てることで、その行為を止めさせることができれば、被害の発生・拡大を抑えることができるかもしれません。

 

法的救済を十分受けるためには、状況に応じて適切な法的手段を迅速にとる必要がありますので、弁護士へのご相談につきましては、お早めになされることをお勧めします。

 

 

 

 法律相談のお問い合わせは、こちら。
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企業不祥事を予防する方法(顧問弁護士)

 

 

会社役員による違法行為は、会社や第三者への直接的な損害の発生のほかにも、そのような不祥事によるブランドイメージの低下によって事業活動が停滞するなど、間接的な損害が発生するおそれがあります。場合によっては、間接的な影響の方が甚大で、過去の食品偽装事件などをみても明らかなように、そのことによって事業活動が不可能なレベルにまで追い込まれる可能性があります。

 

このように、問題が発生してから対処するだけでは不十分であり、日頃から不祥事が発生しないようコンプライアンス体制の整備に取り組むなど、紛争予防のための努力が重要であるといえます。

 

当事務所では、顧問弁護士として紛争予防や企業コンプライアンスへのアドバイス業務なども行っております。顧問弁護士のご相談の場合にも、お気軽にご連絡下さい。